記録で介護用語を使用するときの注意点

介護職は仕事上、利用者について介護記録をまとめることがあります。その際、誰もが介護用語を使用するが、記録上では使うべきでない言葉も存在します。例えば、徘徊という言葉。徘徊は、認知症の人に見られる周辺症状の一つで、何時間もうろうろと歩き続けてしまうことです。では、介護記録を見た利用者家族が、徘徊という言葉をどう感じるでしょう?認知症で困った人というイメージを持たれては、利用者やその家族も悲しませることになりかねません。一方、徘徊は認知症の人でも目的があって行うとされています。認知症の有無にかかわらず、目的があって歩いていることには違いないのです。故に、徘徊という言葉は使わず、散歩等の柔らかい言葉が適切です。

次に注意したいのが、相手に指示をする意味で用いられる促すという言葉。この促すという言葉を使用することで、中には「利用者よりも職員の立場が上ではないか?」と感じる人がいるのです。実際に、利用者に話しかけたときに促すという行動をとることがあるかもしれませんが、記録上では適切な介護用語とは言えません。促すという言葉より勧めるという言葉を用いた方が、利用者の意思による行動だと理解がしやすいでしょう。

さらに、利用者の尊厳を守らない侮辱的な言葉を使用することも望ましくありません。例えば、不潔といった個人に良くない印象を植え付ける言葉。介護記録は情報共有にも使われるので、第三者が見て不快に思うような用語は避けましょう。したがって、介護職は利用者の立場に立って言葉を選び、配慮を怠らないようにすることが大切です。